南アフリカで栽培されるブドウの約55%が白ワイン用品種、45%が赤ワイン用品種。20年前は白ワイン用品種が8割を占めていたが、徐々に赤品種へのシフトが進み、ここ数年間はまた、白品種への回帰が見られる。
南アフリカを代表する白品種はかつてスティーンと呼ばれていたシュナン・ブランで、栽培面積世界一を誇る。スパークリングから、シェリー、甘口から辛口まで様々なスタイルがあるが、冷涼な地域に適したソービニョン・ブランや国際競争性の高いシャルドネへの改植も進んでいる。
赤品種では、ピノ・ノワールとサンソーの交配種である「ピノタージュ」が南アフリカの独自のブドウとして知られる。病害に強く、高い糖度が得られるが、白品種と同様、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラー、メルロ、ピノ・ノワールといった国際品種への改植が進み、栽培面積でもカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーが上回っている。
単一品種だけでなく、ブレンドワインも多い。スタイルとしては赤・白ともに「ボルドーブレンド」が主流。赤では、シラーをメインにグルナッシュやムールヴェードル、ヴィオニエ使い複雑さを出した「ローヌブレンド」、白ではシュナン・ブランを主体にした「地中海ブレンド」も多い。10年ほど前から、南アフリカ固有品種ピノタージュを30~70%使用した「ケープブレンド」スタイルも確立された。シュナン・ブランをブレンドした白ワインにも、しばしば「ケープブレンド」が用いられる。
【2016年品種別栽培面積】
【 白ブドウ 】 1位シュナン・ブラン、2位コロンバール、3位ソービニョン・ブラン、以下シャルドネ、マスカット・オブ・アレキサンドリア、セミヨン、ヴィオニエ、ミュスカ・ド・フロンティニャンと続く 【 黒ブドウ 】 1位カベルネ・ソーヴィニヨン、2位シラー、3位ピノタージュ、以下メルロ、ルビー・カベルネ、サンソー、ピノ・ノワール、カベルネ・フランと続く
スパークリングワインでは、瓶内二次発酵によって作られた「キャップ・クラシック」が近年大きな成功を収めている。品種の規定はなくシュナン・ブランで作る生産者が多かったが、最近ではシャンパーニュを手本にシャルドネやピノ・ノワールを使ったスパークリングも多く造られている。