代表的な8つの品種について記載しています。
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ピノ・ノワール種とサンソー種の交配。高温の南アフリカの気候条件に合うように特別に開発された黒ブドウ品種です。他国ではほとんど生産されていないため、南アフリカを特徴づける重要な品種とみなされることが多いです。この品種はピノ・ノワールの近縁種ですが、それとは真逆で高温の気候を好みます。ピノタージュの単一品種ワインは幅広いスタイルがありますが、 典型的なものはフルボディで、中程度のタンニン、赤い果実の風味(イチゴ、ラズベリー、チェリー)を持ち、しばしば青野菜/草木や動物的(タール、皮革)な風味を伴います。
単独で使った場合、赤いベリーの風味を持つ軽くてフルーティーなスタイルのワインを造ることができ、樹齢の高いブッシュ・ヴァインから作るワインは、非常にフルボディで、コクがあり、香辛料のアロマを持つベリー風味なものになることがあります。強く焼き上げたオークの樽板を使って発酵や貯蔵を行った場合、ピノタージュは、コーヒーやチョコレートの強い香りを醸すことができます。これらのワインは独特のスタイルを強調して販売されることが多く、一部の消費者の間で人気が高いです。
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南アフリカで最も広く栽培されている黒ブドウ品種。通常オーストラリアやカリフォルニアのものに比べて、果実味の凝縮度が少なく、より多くのハーブ風味を持ちます。ステレンボッシュ産の多くは、タンニンと酸味が強く、ボルドーのスタイルに近いです。
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南アフリカのような高温な気候にはあまり耐えられず、最も冷涼な沿岸部で一部栽培されています。 南アフリカのウォーカーベイ地区などの沿岸地域で少量の上質ピノノワールが生産されています。 高級赤ワインの大半はオークで熟成され、トーストのようなアロマを醸すことができるように、少なくとも新しい樽が使用されます。
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南アフリカで広く栽培されている品種です。高温の気候では、たいていはアルコール度が高く、熟した黒系果実の風味を呈し、土香や肉類の特徴を伴うことがあるフルボティの濃厚なワインを造ります。一部比較的冷涼な地域でも栽培されており、ボディ軽くなり、コショウの風味のワインになります。
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南アフリカでは大きく分けて二つのスタイルの上質なソービニョン・ブランがあります。一つ目はきりっとした酸味と果実味豊かな、ニュージーランド産に似たスタイルですが、通常ボティは軽めで、凝縮度、複雑さはそれほどではありません。二つ目は、きりっとした酸味を和らげるためにオークが使用され、瓶の中で熟成してトーストのような複雑な風味が加わります。これはボルドーのスタイルに似ていますが、より凝縮した草木や青野菜などの特徴を持っています。コンスタンシアとエルギンはどちらも冷却効果を受ける場所に位置し、ソービニョン・ブランの産地として特に名高いです。冷涼な気候により熟成が遅れ、凝縮された、爽やかなソービニヨン・ブランが造られています。
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シャルドネ種は冷涼な気候では特に、きわめて質の高いワインを造ることができます。南アフリカでは、特にウォーカーベイ地区などの冷涼な沿岸地域が、様々なスタイルの上質なシャルドネの産地となっています。樽発行や澱攪拌といったブルゴーニュ地方の技術導入が、多くの高級ワインに個性を与える上で役立っています。
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南アフリカでは多く栽培されていて、主に大量生産、低価格の白ワインが造られています。大半はミディアムボティ、辛口からオフドライで、柑橘系やトロピカルフルーツの風味です。
高温の気候条件にもかかわらず、中程度から高い酸味を持ちます。ブレンドによく使われ、爽やかな酸味と柑橘類の果実味を与えることができます。
南アフリカでは上質なシュナン・ブランの生産が増え、顕著なオークの風味を持つものもあります。
ベーシックなレベルでは、シュナン・ブランはシンプルな有核果実の風味を持つ飲みやすいワインを造ります。しかし、古いブッシュ・ヴァインからワインを造る生産者が増えていて、こうしたワインは、より凝縮された複雑な風味と豊かな感触を持つものになります。中には樽発酵と樽熟成によって、トーストのようなオーク香を持ち、より一層重厚なボディになるものもあります。
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この20年間にヴィオニエ種の栽培が非常に増えています。このブドウは一般的に、濃厚で芳しく、かすかにトーストのようなオーク香を持つワインを造ります。スワートランドを中心に、白の高品質ブレンドワインも出現しています。これらワインは、シュナン・ブラン種に、マルサンヌ種、グルナッシュ・ブラン種、ヴィオニエ種といったローヌ地方の品種をブレンドさせて造ることが多いです。